アメリカ人って、ベジタリアン(菜食主義者)が多いイメージですよね?
アリアナ・グランデやブラッド・ピットなど、有名人の中にも、菜食を公言している人がたくさんいます。
しかし日本では、「なんでベジタリアンになるの?」「きっかけは何?」と、アメリカ人のベジタリアンという選択肢に、ピンときていない人も多いのではないでしょうか?
そこで今日は、ベジタリアン先進国であるアメリカに住む人たちが、ベジタリアンになる理由を6つご紹介します。
ベジタリアンの種類や、アメリカにおけるベジタリアン人口と、その推移についてもお話ししていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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アメリカ人がベジタリアンになる理由
それでは早速、アメリカ人が菜食主義者になる理由を見ていきましょう。
動物愛護のため
動物愛護のためにベジタリアンになる人は、2000年代以降特に多くなっています。
アメリカでは、80年代から、畜産業界の動物に対する残酷な扱いを、暴露する本などが出ていました。しかし、近年SNSなどが急速に普及したことにより、酪農や食肉業界の裏側が、一般人の間でも知られるようになりました。
「動物愛護」というと、動物の権利を過激に主張する人というイメージを持つ人もいますが、畜産動物が「あまりにも酷い環境」に置かれているのに心を痛めて、ベジタリアンになる人が大多数でしょう。
畜産業界を舞台にしたドキュメンタリーなどを見て、あまりの残酷さに肉が食べられなくなる人もいます。
また、「動物が残酷な扱いを受けた上に若くして殺されるのは、自分が肉を食べたいと思っているからだ」と責任を感じて、ベジタリアンになることを決意する人も多いようです。
環境保護のため(地球温暖化防止)
畜産業界が与える地球環境へのダメージを懸念して、ベジタリアンになる人も大勢います。
畜産動物のげっぷ、おなら、糞、尿からは、メタンという温室効果ガスが放出されます。畜産業の拡大によって、この温室効果ガスの放出量は増え続け、今では地球全体の放出量の15%以上を占めていると言われています。
また、畜産場から流れ出る排せつ物、薬、洗剤などは、海洋汚染の原因になっていますし、下水を通して、病原性大腸菌などが拡散し、食中毒が広がることもあります。
さらに、畜産場を作るために森林を切り開くこともありますし、餌などの輸送の際に放出されるに二酸化炭素量も問題になっています。
これらはすべて、肉を食べ過ぎることによって起こった問題ですので、環境保護のために個人が出来ることとして、ベジタリアンになることを選ぶ人がたくさんいます。
健康のため
アメリカでは、野菜不足が深刻な上に、1人あたりの肉の消費量が多いことが、生活習慣病の主な原因の1つになっています。このため、健康診断で医者に食生活を注意され、ベジタリアンになる人も増えています。
お医者さんに「ベジタリアンになりなさい」と言われることは少ないかもしれませんが、「もっと野菜を食べてください」や「肉より魚を選んでください」というフレーズは、多くのアメリカ人が一度は言われたことがあるのではないでしょうか。
また、社会全体として、ヘルスコンシャス(健康志向)な人が増えているのも理由の1つでしょう。
ダイエットのため
肉は野菜に比べて高カロリーですので、もちろん、ダイエットのために、ベジタリアンになる人もいます。
「ダイエット」と言うと、細くなりたい女性のイメージがあるかもしれませんが、アメリカでは肥満問題が深刻ですので、まさに生死をかけてダイエットに取り組んでいるという人もたくさんいます。
2004年から何度も手術を繰り返していた元米国大統領のビル・クリントン氏は、2010年に冠状動脈の手術をしたあと、医師の指導の下、ヴィーガンになりました。
クリントン氏が、この方法で健康を回復するとともに、10キロの減量に成功した話には、感化された人も多いのではないでしょうか。
宗教上の理由
宗教的な理由でベジタリアンをしている人もいます。特に、ヒンズー教、ジャイナ教、仏教の宗派には、ベジタリアンを推奨するものが多いようです。
宗教の直接的教えにより、特定、またはすべての肉の摂取が認められていない場合もあれば、食品が特定の方法で処理されていないと食べられない、という場合もあります。
私にもずっとベジタリアンだと思っていた友達がいたのですが、ある日、その子の家に行ったら、普通に牛肉を食べていてビックリしたことがありました。
彼女はコーシャー(ユダヤ教の食物清浄規定)認定の牛肉しか食べることが出来ないため、外食時はほとんどベジタリアンなのだと、説明してくれました。
節約のため
節約のためベジタリアンになる人もいます。肉(特に牛肉)は野菜に比べてかなり高いですので、家計を圧迫する原因になります。
また、食費もそうですが、アメリカは医療費が高いことで有名です。病気になって大きな手術費や長期入院をすれば、破産する人も珍しくありません。
このため、野菜中心の健康的な食事は、将来の医療費の節約にもなるということで、注目されている、ベジタリアンになることのメリットの1つです。
ベジタリアンの種類
ここからは、補足ですが、ベジタリアンの種類を簡単に説明していきます。
「ベジタリアン」とは、菜食中心の食事とその食事を食べている人の総称です。実は、ベジタリアンにはたくさん種類があります。
その中でも、アメリカで知られている主なベジタリアンは以下の4つです。
- ヴィーガン(完全菜食主義)肉、魚、乳製品、卵、はちみつなど、動物性の食品は一切口にしない
- ラクトオボベジタリアン 肉は食べないが、卵と乳製品は食べる
- ラクトベジタリアン 肉は食べないが、乳製品は食べる
- ペスクタリアン(ペスコベジタリアン)肉は食べないが、魚介類、卵、乳製品は食べる
この4つ以外にも、ポウョウベジタリアン(鶏肉、卵、乳製品は食べる)など、いろいろな種類のベジタリアンが派生しています。
例えば、卵や乳製品を食べないペスクタリアンは多いですし、ラクトベジタリアンだけど、たまにポウョウ(pollo:スペイン語でチキン)を食べる人もいるでしょう。
また、厳しく食事制限をしているベジタリアンもいれば、「基本はベジタリアンだけど、たまには肉を食べることもある」という、ゆるい感じのベジタリアンもいます。
アメリカのベジタリアン人口
アメリカにはどのぐらいのベジタリアンがいると思いますか?
2018年7月にGallup(ギャラップ:アメリカの世論調査会社)によって行われた調査によれば、自分が「ベジタリアンである」と答えた人は、全体の5%。「ヴィーガンである」と答えた人は全体の3%でした。
合計8パーセントですが、アメリカは大雑把な国ですので、一般的には「10人に1人がベジタリアン」と聞くことも多いです。
ベジタリアンは増えていない
実は、自分のことをベジタリアンやヴィーガンだと認識している人の数は、Gallupが最初に調査をした1999年からほぼ変わっていません。
しかし、2019年の現在、アメリカの、特に大都市では、ベジアタリアン対応していないレストランを探すのが難しいぐらいですし、スーパーにもヴィーガン・ベジタリアン商品が、所狭しと並び、市場規模は拡大するばかりです。
この、世論調査と市場規模にギャップが生まれている理由は、肉を食べる量を減らす人が急増しているためです。普段肉食の人でも、月曜日は肉を食べない「ミートフリーマンデー」を習慣化している人はたくさんいます。
つまり、アンケートに「私はベジタリアンです」と答えるレベルではないが、実際には野菜中心の食事をしているという人や、ベジタリアンの献立を好んで取り入れているという人が、急増しているということです。
そして、このニーズにこたえるため、ベジタリアン関連商品も、たくさん出回るようになっています。
まとめ
いかがだったでしょうか? 一口に「ベジタリアン」といっても、ベジタリアンになる理由は人それぞれですよね。主な理由を6つほど取り上げましたが、これに当てはまらない人もたくさんいるでしょう。
ちなみに私の場合は(私はアメリカ人ではありませんが)、子供の時から肉の味が嫌いで、ほぼペスクタリアンとして育ちました。学生時代は肉を食べていましたが、今はまたほぼペスクタリアンの状態に戻りました。
好き嫌いのほかにも、肉にアレルギーがある人もいますし、育った環境にも影響されるかもしれませんね。
今回のブログが参考になれば、うれしいです。