海外では「日本人の健康の秘訣」「日本人が太らない理由」と、大絶賛の緑茶。
「日本茶」とも呼ばれる緑茶は、日本が誇る伝統であり、文化であり、日本人にとって一番身近なスーパーフードでもあります。
私は「新茶の封を切った瞬間の香り」が、この世の中で一番美しい香りだと思っているぐらい、緑茶を推しています。
今日は、そんな私が、日本人でもあまり知らない「緑茶の効果」について、全力で語っていきたいと思います!!!
あまりにも必死過ぎて、ちょっと長くなりました!
先に謝っておきます(笑)。
Contents
緑茶とは
緑茶はチャノキと呼ばれるツバキ科の常緑樹の葉で、東アジアやインドが原産と言われ、中国では5000年近く前からお茶として飲まれていたという話もあります。
日本には、今から800年以上前の鎌倉時代初期に伝来しました。
緑茶は生ではない
緑茶がアメリカで流行り始めたときに、「緑茶はローフードなのでは?」という噂がたちました。
確かに、緑茶はその鮮やかな緑色から非加熱食品だと思う人も多いのですが、実は約100度で蒸されたあと、200度近い高温で乾燥されることもあるため、ローフードではありません。
緑茶の有効成分は2つ!
緑茶は植物ですので、もちろんビタミンやミネラル類など、さまざまな栄養分が含まれています。
しかし、緑茶が「不老長寿の薬」ともてはやされる理由となる成分は次の2つです。
- カテキン
- テアニン
カテキン(緑茶の渋み成分)
緑茶にはポリフェノールの一種であるカテキンの中でも最強と言われる没食子(もっしょくし)酸エピガロカテキン(EGCG)が豊富に含まれています。
EGCGの研究は盛んに行われていて、がん、心血管疾患、骨粗しょう症、二型糖尿病、肥満など、さまざまな病気に効果があることが証明されています。
テアニン(緑茶のうま味成分)
緑茶に含まれるL-テアニンは、「血液脳関門を通過できる珍しいアミノ酸」で、GABA(ギャバ)、セロトニン、ドーパミン、α波などの分泌を促進する効果があります。
このため、脳機能の向上、リラックス作用、女性のPMSの軽減、認知症防止など、脳や精神の健康に効果があることで知られています。
そのほかの成分
カテキンとテアニン以外にも、緑茶にはビタミンC、ビタミンB1・B2、β-カロテン、葉酸、ビタミンE、GABA、クロロフィル、ミネラル(カリウム、カルシウム、マンガン)など)が含まれています。
特に、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」によれば、煎茶(茶葉)100gに含まれるビタミンCは260㎎で、これはレモンの約2.5倍になります。
実際には、淹れたお茶(抽出液)100mlに含まれるビタミンCの量は1.4mgほどですが、玉露の場合31.7mgにもなり、野菜・フルーツジュース以外の飲み物としては、驚異的な数値になっています。
緑茶の効果
実は、緑茶の効果は、書ききれないほどあります!!
多くの病気は、体内の炎症や酸化が大きな原因となり、発生、または悪化しますが、緑茶に含まれるポリフェノールなどの抗酸化物質は、体内の炎症・酸化を抑えてくれる働きがあるためです。
緑茶は万病の予防に効くといっても過言ではありません。
今回は、特に現代人が気になっているであろう、緑茶の「9つの効果」を紹介していきます。
ダイエット効果(肥満解消)
緑茶に含まれるカテキンとカフェインには、脂肪を落としてくれる効果があります。
上海に住む肥満気味の成人435人を対象に3ヶ月をかけて行った観察実験では、高濃度のカテキン入り緑茶(カテキン886mg)を1日に2度飲んだグループで、ウエスト1.9㎝減、体重1.2kg減という結果が出ました。
カテキン30mg入りの緑茶を2度飲んだグループでは(一般的な緑茶のカテキン量は250mlで50~100mg)ハッキリとした変化は見られなかったものの、過体重~普通体型の人への効果は期待されるのではないかと予想されています。
また、EGCGに関する文献のレビューでは、EGCGを1日100~460mg、12週間以上摂取することで、より体脂肪低下の効果があると結論付けています。
さらに、ダイエット効果にはカフェインの摂取(1日80~300mg)も関与していると考えられていて、特に普段のカフェイン摂取が1日299mg以下のグループで、体脂肪率の減少とカフェイン摂取に関連性が見られたそうです。
EGCGとカフェインの相乗効果で、痩せられる可能性が高くなるということですね!
免疫力アップ
カテキンなどのポリフェノールは、免疫細胞を活性化し、病原体への抵抗力をつける助けになることが、さまざまな研究で証明されています。
緑茶に「抗菌効果」や「抗ウイルス効果」があるといわれるのは、このためです。
例えば、緑茶に含まれるカテキンの一種であるエピガロカテキン(EGC)は白血球を活性化させるといわれています。
緑茶が免疫力アップに効果的だということは証明されていますが、ポリフェノールはありとあらゆる角度から免疫機能に働きかけるため、そのメカニズムはいまだ大部分謎に包まれています。
ガンの予防
細胞の酸化は体内に慢性的な炎症を起こし、この炎症が、がんを含む生活習慣病の基盤を作ると考えられています。
そして、緑茶に含まれる抗酸化物質は、体内細胞を酸化によるダメージから守ってくれます。
40~74歳の中国人男性60,567人を対象にした5年間に及ぶ観察実験があります。
その結果を見てみると、緑茶を週3回以上、継続して6か月以上飲んでいる人は、大腸がんになる確率が23%低かったそうです。
また、その中でも、禁煙者の間では、46%のリスク減少が観察されました。
緑茶は、大腸がんだけでなく、乳がんや前立腺がんの予防とも深くかかわっているのではないかと考えられています。
糖尿病予防
緑茶は二型糖尿病の予防にも効果的だと言われています。
17,413人の日本人を対象に5年をかけて行われた観察実験では、緑茶を1日6杯以上飲む人は、1杯以下しか飲まない人に比べ、二型糖尿病になる確率が33%低くなったそうです。
また、7つの関連論文(合計286,701人が対象)を分析した研究によると、1日に緑茶を3~4杯飲む人は、全く飲まない人に比べて、糖尿病になる確率が18%ほど低くなったということです。
心血管疾患予防
心血管疾患の原因と言えばLDL(悪玉)コレステロールが有名ですが、緑茶にはLDLコレステロール値を下げる効果があります。
緑茶エキストラクト(エキス)を6週間LDLコレステロール値の高い女性90人に飲ませた実験では、LDLコレステロール値が4.8%下がったそうです。
また、各種研究結果によると、緑茶を飲む習慣がある人は、そうでない人と比べて、心血管疾患になるリスクが最高で約30%ほど低いのではないかといわれています。
アンチエイジング
緑茶には、アンチエイジング効果もあります!!
私たちの免疫器官は、体が外敵によって攻撃されたとき、「フリーラジカル」という物質を放出して、体を守ります。
しかし、このフリーラジカルが体内に増えすぎると、細胞を傷つけ、それが老化の原因になります。
実は、このフリーラジカルを中和してくれるのが、緑茶に豊富に含まれるポリフェノールなどの抗酸化物質なんです!
そして、緑茶には肌のターンオーバーの正常化に欠かすことの出来ない、ビタミンCも豊富に含まれています。
脳の働きを良くしてくれる
緑茶に含まれるL-テアニンというアミノ酸には、GABA(ギャバ)、セロトニン、ドーパミンなど、脳の働きと精神の安定に深いかかわりのある神経伝達物質の分泌を、促進してくれる働きがあります。
また、2008年に発表された研究では、テアニンと緑茶に含まれるカフェインとの相乗効果で、脳の認識力がアップすることが分かりました。
そして、これらの効果の延長線上で、緑茶の認知症や脳梗塞の予防効果も期待されています。
口臭予防
緑茶は口臭の主な原因である、揮発性硫黄(揮発性硫黄)の軽減に効果があるといわれています。
揮発性硫黄に対する効果を調べた実験では、緑茶がミントやガムよりも効果的であったと結論付けています。
二日酔い対策
緑茶に含まれるクロロフィル、抗酸化物質、カフェインの相乗効果で、頭痛や吐き気など二日酔いの不快な症状が軽減されます。
日本初の本格的なお茶についての書物『喫茶養生記』(栄西著・1214年)は、深酒癖があった将軍源実朝にも献上されたと言われています。
緑茶の二日酔い改善効果は、かなり昔から知られていたようですね!
緑茶の種類と特徴
それでは次に、お茶の種類を簡単に見ていきましょう。
煎茶
一番一般的な緑茶。摘み取る時期によって、一番茶(新茶)、二番茶、三番茶などがある。
深蒸し煎茶
煎茶の約2倍の時間をかけて蒸される。
茶葉が細かく多少なりとも茶葉ごと飲むことになり、カフェイン含有量も必然的に多くなる。
玉露
被覆栽培(新芽が出始めたら直射日光を遮って栽培)した茶葉で作るお茶。
日光を遮ることでアミノ酸(テアニン)からカテキンが生成されるのを抑制するため、甘味が増し、渋みは少なくなるが、カテキンの含有量は少なくなる。
抹茶
緑茶と同じように被覆栽培で育てた茶葉を蒸し、茶葉は揉まずに乾燥させ石うすなどで挽いたもの。
緑茶を葉ごとすべて飲むため、栄養価は高くなるが、カフェインが多いのが難点。
番茶
煎茶として選別されない、成長した大型の茶葉などを用いて作るお茶。
葉が太陽の光に当たる時間が長いため、タンニンが多く煎茶よりも苦みがあるが、カフェインは少なめ。
遅く摘み取った葉(晩茶)から、その名がついたとも言われる。
茎茶
煎茶や玉露の加工作業中に取り除かれた茎の部分を使ったお茶。
さわやかな味わいで人気があるが、栄養面では茶葉には劣る。
玄米茶
煎茶と炒った米を約同量でブレンドしたもの。
茶葉の量が少ないため、カフェインも少ない。
ほうじ茶
煎茶を高温(200度程度)で炒って香りを出したもの。
炒ることによってカフェインは減るが、ビタミンCなどの栄養分も同時に失う。
一番健康にいい緑茶はどれ?
毎日複数回飲むのであれば、普通の煎茶が一番間違いないです。
十分に日光の光を受けた煎茶の茶葉は、タンニンを適度に含み、ビタミンCも被覆して栽培される玉露より多くなります。
栄養価的には、葉を丸ごと飲むことができる抹茶が優秀ですが、カフェインの含有量が多いため、頻繁に飲むのには向いていません。
煎茶は味的にも、玉露のような甘味はありませんが、番茶のような苦みもなく、バランスが取れていて、毎日飲むのに適しています。
緑茶は種類によって味や栄養価が多少変わりますので、緑茶の効果を余すところなく取り入れたいのであれば、煎茶をメインに、ローテーションでほかの種類の緑茶も飲むのがおすすめです。
緑茶の効果的な飲み方
1日を通して、少しずつ飲むのがベスト。
体は抗酸化物質を少しづつゆっくり使いますので、飲み方もそれに合わせるのが理想的です。
また、1度にたくさん飲むと、緑茶には利尿作用もありますので、ビタミンCなどの水溶性の栄養分はすぐに流れ出てしまいます。
カフェインに敏感な人は、夕方以降飲むのは避けましょう。
さらに、胃が弱い人は、空腹時(主に朝起き抜け)は避けて飲むのがよいでしょう。
緑茶の注意したいポイント4つ
「緑茶をもっと飲みたい!」と思った時に、気になる以下4つの項目を説明していきます。
- カフェイン
- タンニン
- シュウ酸
- 利尿作用
緑茶はカフェインが多いの?
カフェインの覚醒作用は、適量であれば脳や体の刺激になり、健康によいとされています。
しかし、私を含めカフェインに敏感な人は意外に多いですので、「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」をもとに、約100mlの緑茶に含まれるカフェイン量を紹介します。
ちなみに、アメリカ食品医薬品局は、妊婦をのぞく成人の1日のカフェイン摂取上限を400mgとしています。
( )の中は、使用した茶葉の分量(g)。
- 玉露 160mg(10g)
- 煎茶 20mg(10g)
- ほうじ茶 20mg(15g)
- 玄米茶 10mg(15g)
- 抹茶 64mg(2g)
参考までに、コーヒーや紅茶のカフェイン量は以下の通りです。
- 紅茶 30mg(5g)
- ウーロン茶 20mg(15g)
- コーヒー 60mg(10g)
タンニン
タンニンには悪いイメージを持っている人が多いですよね。
理由はおそらく、「タンニンには収れん作用があり、飲みすぎることで胃が荒れる」と聞いたことがあるからだと思います。
しかし、実際には常識の範囲内の量であれば、心配はいりません。
胃が荒れやすい人は、空腹時は避けて飲むようにしましょう。
また、タンニンには鉄分を吸着する性質があるため、貧血気味の人は様子を見ながら飲んだほうがいいかもしれません。
タンニンは緑茶の渋み成分なので、気になるようであれば、渋くないお茶を選んでみましょう。
シュウ酸
シュウ酸とは、尿路結石の原因となる物質です。
お茶だけでなく、ホウレン草やタケノコなどの野菜や、ナッツ類などにも含まれています。
シュウ酸の含有量は、玉露と抹茶が特に多いと言われています。
玉露や抹茶は、元々日常的には飲まれない緑茶ですので、普通の煎茶、番茶、ほうじ茶などをメインで飲んでいる分には問題にはならないでしょう。
利尿作用
緑茶には利尿作用があります。
利尿作用は体のデトックスを促してくれますが、いきすぎると体内の水分を奪い過ぎてしまうのでよくありません。
緑茶で脱水症状を起こすことはありませんが、常識的な範囲を超えて飲むのはやめましょう。
まとめ
緑茶ってすごいですよね!
実のところ、まだまだ科学が追い付いていないだけで、緑茶の効果は、今分かっているものの何倍もあるのではないかと言われています。
長寿文化にはかならず1つ、ポリフェノール(抗酸化物質)を豊富に含む食品が、毎度のように食卓に上ると言われています。
長生きで有名な地中海地方では、赤ワインがこれになります。
日本も世界的に有名な長寿国ですが、日本の場合はもちろん緑茶です!
そしてやはり、ポリフェノールを含む食品は、少量を継続してずっと食べ続けることもポイントのようです。
それが、どうやら、一番体にとって効率的な摂取方法のようです。
緑茶を飲んで、どんどん健康になっていきましょう!
参照
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